いつでもどこでも血管内治療トレーニングが可能に -医師がX線被爆しない血管内治療シミュレータを開発-

 理化学研究所(理研)光量子工学研究センター画像情報処理研究チームの深作和明客員研究員(新座志木中央総合病院脳神経外科医師)、横田秀夫チームリーダー(琉球大学医学部先端医学研究センター特命教授)、琉球大学病院心臓血管低侵襲治療センターの岩淵成志特命教授、大屋祐輔教授らの共同研究グループは、医師がX線被爆することなく、カテーテル[1]などを用いた血管内治療[2]の手術トレーニングを行えるシステムを開発しました。
 本研究成果は、冠動脈疾患[3]や脳梗塞[4]、脳動脈瘤[5]などに対する血管内治療に携わる専門医の技能や治療成績の向上に貢献すると期待できます。
 血管内治療の手術トレーニングは、実際の手術と同様にX線透視下で行うため、医師のX線被曝が避けられないという問題[6]がありました。
 今回、共同研究グループは、蛍光観察技術[7]と画像処理技術を組み合わせることで、血管内治療に用いられるカテーテル、ガイドワイヤー[1]、ステント[8]などを、X線による透視下での画像で再現した「非被爆血管内治療シミュレータ」を開発しました。このシステムはX線透視装置が不要なため、トレーニングする医師は全く被爆しません。また、X線透視と同様に、シミュレータの投影方向の情報を削減しているため、従来のトレーニングシステムに比べて、実際の状況を再現したトレーニングを提供できます。さらに、システムはテーブル上に設置できるサイズであり、かつ従来法よりもはるかに安価なことから、いつでもどこでも医師がトレーニングすることが可能になります。
 研究内容は、こちらからご覧ください