- 自覚症状がなくても脳MRIで検出される脳の小さな血管障害(脳小血管病注1)は、脳卒中や認知症の危険因子であることが知られています。動脈の硬さ(スティフネス注2)の指標である脈波伝播速度(PWV)が血圧よりも脳小血管病との関連が強いことを世界で初めて明らかにしました。
- 実臨床における動脈スティフネス測定の意義を明確に示しました。脳卒中を起こしたことのない方の脳ドックデータを用いた解析により、PWVが高い群は血圧が高くなくても脳小血管病を多く有し、逆に、PWVが低い群は血圧が高くても脳小血管病が少ないことを明らかにしました。脳小血管病の重要な危険因子と認識されている高血圧よりも動脈スティフネスの影響が大きいことを見出しました。
- 脳卒中や認知症の予防には、単に血圧を下げるだけでなく、動脈スティフネスを治療ターゲットとした新たな治療法の開発が必要であることを示しました。また動脈スティフネスは、特に60歳未満の中年期において脳小血管病と強く関連する可能性があるため、脳小血管病の早期発見指標として有用である可能性があります。
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